徒然とエモーション

ブログって誰に向けて書くものなんでしょうね?と思いながら音楽とか本とかについて、自分でもよくわかっていない誰かに向けて書くブログです。

フジファブリックの15周年SPECIALライブ IN MY TOWNの感想

 

 

10月20日(日)大阪城ホールで開催された、フジファブリックの15周年SPECIALライブ IN MY TOWNに行ってきた。

 

演者も観客にも多幸感が溢れる、ものすごく暖かな気持ちになるライブだった。

 

フジファブリックというバンドが辿ってきた道を振り返ると、どうしても感傷的な気分になってしまうし、そういう風なライブになるんじゃないかと始まる前までは思っていた。

 

でも違った

 

そしてそこがとても素晴らしいと感じた。

 

IN MY TOWN本編

唯一、会場にセンチメンタルな空気が漂ったのはメンバー紹介のくだりだったと思う。メンバー紹介のなかで志村さんを紹介した場面。

志村さんにフジファブリックを作ってくれてありがとうと山内さんが話して、金澤さんが僕にも志村さんのDNAが流れている、ということをそれぞれお話ししていた。

そこで演奏された曲は志村さんの内面を赤裸々に歌ったバウムクーヘン、秋を彩る彼らの代表曲のひとつ「赤黄色の金木犀、そして志村さんの没後に山内さんによって書かれた(志村さんに語りかけている歌であるように思える)「ECHO」の3曲だった。

山内さんの歌声は力強くて、フジファブリックから志村さんに向けて“今の自分たちはこうだよ”“こんな素敵な場所で歌っているよ”と伝えているような演奏であるように感じられた。スクリーンに映る志村さんの映像とともに、このライブのひとつのハイライトになっていた。 

 

 

でもこの部分以外は、終始ニコニコのライブになった(ちょっと時間を巻き戻す)。

まさかの若者のすべてでスタートし、10周年を記念して創られた曲である「はじまりのうた」で早くも笑顔が弾けた。

私は「SUPER!!」という曲が凄く好きで、この曲では金澤さんもギターを演奏するのだけれど、間奏部分で3人が並んで楽器を揺らすところなんかはこっちもニコニコしちゃうくらいいい場面だなあと思う。このライブのサプライズのひとつはこの「SUPER!!」で最後金澤さんが山内さんの前に出てきてギターソロを披露した所でもあったと思う。

 

途中設けられたアコースティックコーナーでは「ブルー」探偵ナイトスクープのテーマ曲のカバー、そして私の大好きな曲である「透明」が披露された。

この中で加藤さんのなぞかけ挑戦コーナーである加トークも披露され、見事に成功。

たこ焼きとかけて、浦島太郎ととく、その心はどちらもきじ(生地、キジ)が必要です(たこ焼きと浦島太郎は逆かも…)

加藤さんの書く歌詞とか見てると言葉遊びとかがすごく上手くって、謎かけが瞬時にできるのも納得。きっと言葉に対する感性の強い人なんだろうなと思う。

ドラマーがいないと音が寂しいと山内さんは言っていたけれど、3人が息をあわせてかろやかにアコースティックの楽器を演奏する姿に15年という絆を感じた場面だった。

FAB FOXというアルバム以降ドラマー不在のバンドであるフジファブリック3人だけのステージで、山内さんの「これまでフジファブリックを支えてくれたすべてのドラマーに感謝します」という言葉もあった。

 

終盤は「LIFE」「徒然モノクロームで会場のテンションが一気に上がる。

特に「徒然モノクローム」は間奏のギターが長めに取られていて、ギタリスト山内さんの本領発揮という感じ。ものすごくカッコいい演奏だった。 

徒然モノクローム

徒然モノクローム

  • provided courtesy of iTunes

 

 

過去の曲のタイトルをふんだんに盛りこんだラップを入れて“完成形”となった「東京」や、現在のフジファブリック流和風ダンスナンバーである「Feverman」など、いずれも最近のツアーやフェスの中で育った曲を盛り込んできたところが素晴らしい。

 

そして彼らにとってリスタートの象徴であるといえる曲「STAR」。近年のフジファブリックの代表曲たちがまばゆい光を放ちながら次々に演奏されていく。

 

山内さんは終始色々な場面で色々な人に感謝の言葉を述べていた。少し長いしまとまりのないMCになった場面もあったけれど、ほほ笑ましくてとてもよく気持ちが伝わるものだった。

そして、観客の拍手がこれほど長く大きなライブを私は知らない、と思うほどあたたかな空気が大阪城ホールに満ちていた。なんだかその空気が見えるような気さえする空間だった。

 

本編ラストは予想通り「手紙」

IN MY TOWNというタイトルが示すように、このライブの軸となったのはやはりこの曲だった。

ライブ前は大阪城ホールで山内さんはどんな顔をして「手紙」を歌うんだろうか?泣くんじゃないかな?などと思っていたのだけれど、歌い終わった直後スクリーンに映された山内さんの顔は笑顔だった。そして笑顔で良かったと思った。

フジファブリックは涙ではなく、このライブを通じて笑顔を届けたいと思っていたのかもしれない。そのくらい感謝と笑顔に満ちたライブだった。

 

アンコール

アンコールでは、最初山内さんだけがステージに登場し、彼がこの日のために作ったという「プレゼント」という新曲が弾き語りでメトロノームの音とともに演奏された。

ファンの子どもからの手紙をもらったことなどをきっかけに、すべての人が誰かにとっての贈り物である、という気持ちが強くなり作られた曲だとの話があり(ちなみにそのお手紙を書いた子がライブに来ていて、「君か!」という山内さんの話に会場中がほっこりした)、「何秒、何分、何時間経ったとしても」というフレーズが印象的な優しい曲。

バンドがファンと共に歳を重ねていけることって本当にすばらしいことだよなーと思う。

 

金澤さん、加藤さん、玉田さんがステージに登場し、次に歌われた曲はデビュー曲である「桜の季節」。皆自然とプレートライトをピンクに変えていた。

ちなみにアイドルとか声優のライブではないので、フジファブリックにはメンバーのカラーとかの類が存在しない。

なので、何色のライトが良いのかさっぱりわからなくて、私も適当に色を付けていたのだけれど(まあ、それが多分正解だったと思う)、自然と「Green Bird」では緑色になったり、「STAR」の時は7色の点滅になっていたりしていた。

 

アンコール3曲目は「会いに」

CD等音源で聴いているとなんとなく曲の成り立ちからして感傷的な感じがしないでもないのだけれど、この日ライブで演奏された「会いに」は滅法明るい曲のように感じられた。

IN MY TOWNというこのライブを経て、またいろんな場所で歌うよ!だから待っててね!というフジファブリックからのメッセージのようでもあった。

 

ラストの曲は「破顔」

会いたい人に会えたかな なりたい人になれたかな

僕が僕らしくいることで少しは優しくできたかな

ただ息をする今日という日が何より素晴らしいことさ

闇を切り裂け さあ鳴らそう 遮るものは何もない

さあ行こう

 

破顔

破顔

  • provided courtesy of iTunes

 私は アルバム「F」に収録されている曲を聴くと、いつも勇気をもらえるような気がする。こんな私でも生きていることを肯定されているように思えるというか。

いつも感動すると涙が出るタイプの人間なのだけれど、この日は私も笑顔でフジファブリックを見送った。本当にいいライブだった。

この場所に居られたことがただただ幸福だと感じた。

 

 

終わってからの帰り道で、そういえばフジファブリックの代表曲でありライブでよく演奏される「虹」や「銀河」、「Sugar!!」や「夜明けのBEAT」等が演奏されなかったなあと気づいた。特に残念という気持ちにもならなかった。そんなところにフジファブリックの進化を感じた。

どうしても“志村さんがいたころの曲”“志村さんがいなくなってからの曲”みたいな区分けをして聴いてしまいがちなのだけれど、そんなのもう全然関係ないなあと思った。どの曲もすべてフジファブリックだったと思えたから。

 

このライブを懐かしい曲オンパレードのセットリストにすることだってできたと思うし、悪く言えばお涙ちょうだい的な感傷的なライブにもできたと思う。でもフジファブリックはそうしなかった。最近の曲が多かったことも含めて、終始笑顔でいられるライブにしてくれて、それが最高のライブだったことにとても感動してしまった。

あなたの作ったバンドはこんな風に素敵に続いていますよ、って天国の志村さんに伝えているようなそんなライブだった。

 

新たに発表された全国ツアーの I FAB Uでさらなる進化が見られそう。とても楽しみ。

 

セットリスト

01.若者のすべて

02.はじまりのうた

03.Green Bird

04.SUPER!!

05.星降る夜になったら

06.オーバーライト

07.バウムクーヘン

08.赤黄色の金木犀

09.ECHO

 

【アコースティックコーナー】

10.ブルー

11.ハートスランプ二人ぼっち(カバー)

12.透明

 

13.LIFE

14.徒然モノクローム

15.Feverman

16.東京

17.STAR

18.手紙

 

【アンコール】

EC01.プレゼント

EC02.桜の季節

EC03.会いに

EC04.破顔