フジファブリックの新曲『光あれ』について
6月3日にフジファブリックの新曲が配信限定でリリースされた。
タイトルは「光あれ」。
プロデューサーは小林武史である。
“小林武史さんプロデュースの新曲”とバッチリ書かれてご紹介されるあたり、小林武史ってすごいんだなあと改めて思った。
それがひとつの宣伝文句になっているってことでしょう?すごいね。
私はミスチル含めて小林武史がプロデュースしてきたバンドの曲をあまり聴き込んできていないのでその是非については語ることは難しいのだけれど、壮大な感じの曲を作るのに長けたプロデューサー、という印象を持っている。
MY LITTLE LOVERは好きな曲が多いし(特に「Yes~free flower~」や「ALICE」なんかはめちゃくちゃオシャレでカッコいいと思う)、YEN TOWN BANDも然りでどちらかというとロックというよりポップスよりの曲で思い浮かべるものが多い。小泉今日子の「あなたに会えてよかった」とか。
ちなみに私の友人に大のミスチルファンがいるのだけれど、その友人は小林武史についてどうやらあまり良い感情を抱いていない様子である。
まあなんとなく言わんとすることはわからないでもない。私も「光あれ」のリリースが発表された時は「どんな曲になるのかな?」と少々不安な気持ちがしていたから。
さてその小林武史プロデュースによるフジファブリックの曲、「光あれ」。
やはりこれまでのフジファブリックの曲とは少し質感が違うと思った。
これまでよりボーカルの音が大きく聞こえるような気がする。
1番から2番に移るところの加藤さんのベースラインは面白いアレンジでフジファブリックらしいなあと思えたけれど、いつもならあるはずの山内さんのギターソロだったり印象的なギターのリフがない。
狙ってそうしたのだろうと思うけれど、これぞ山内さんのギター!という感じのギターがないのは寂しく感じる。最近「つり球」の影響で「徒然モノクローム」をよく聞いているからかもしれない。
キーボードのアレンジについてはイントロから面白いアレンジがされている。金澤さんとプロデューサーの間でどういうやりとりがあったのか興味深い。どの程度プロデューサーの思考が反映されているのだろうか。
コロナ禍の中で作ったからなのだろうか、歌詞も少しいつもと印象が違う。
もちろん悪い歌詞というわけではないけれど、個人的には少し物足りなく感じた。
うまくいえないのだけれど、「LIFE」とか「バタアシParty Night」みたいなもがいてる感じだったり、「手紙」や「東京」のような情景を描く山内曲に魅力を感じてきたので、”不特定多数に向けた前向きなメッセージソング”という感じに慣れていないのかもしれない。
とはいえ、メロディーのきれいなすごく聞きやすい曲になっていると思うんです。
(『音楽と人』のレビューでは「トレンディドラマ感」と表現されていた。レビューはこちら→https://ongakutohito.com/2020/06/06/fujifabric-column/)
ストリングスの音も、「小林武史プロデュース」の文言を見たときに想像したほど過剰というわけではなかったし。
「光あれ」はそのタイトル通り、世の中の人皆を照らす光がありますようにと願いを込めて作られた曲のはずだ。そういう願いがより多くの人に届くようなアレンジにしようとして、だからこその小林武史プロデュースだったのかもしれない。
ところで私はスピッツのファンを割と長いことやっているのだけれど、『三日月ロック』というアルバムが出たときに強烈な違和感を感じた過去がある。『三日月ロック』はスピッツがプロデューサーの亀田誠治さんとタッグを組んでリリースした初めてのアルバムだった。実はこの時に「もうスピッツの曲を聴いて感動できなくなったのかも…」と心配になった経験がある。
いつかこの『三日月ロック』リリース時のことについてはブログに書いてみたいなあと思っているのだけれど、今となってはまったく違和感なく聞けているし、フジファブリックの「光あれ」はその時ほどの違和感はないので、たぶんそのうちすぐに耳に馴染んでライブで聞いてめちゃくちゃ感動しちゃったりするような気がする。
なんか尻切れトンボになってしまったけれど、今日はこの辺で。