徒然とエモーション

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スピッツ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE” 大阪城ホール1/18に行ってきた話

 

今年の初ライブはスピッツ

フジファブリックの15周年記念ライブからそんなに期間を空けずにまたやってきた大阪城ホール

MCの中で、「この日(18日)が2020年代になってからのスピッツの初ライブ」だとお話されていたのがとても印象的だった。

私が初めてスピッツを見たのはインディゴ地平線のツアーだから96-97年頃とすると、90年代・00年代・10年代ずっとスピッツと過ごしてきたことになる。

こうして今もこんなに大きな会場でスピッツのライブを観られることが本当に嬉しいし、スピッツのライブが相変わらず素敵で楽しいことも何年経っても変わらないのもまた嬉しい。

 

※以下感想です。まだライブをご覧になってない方はネタバレ満載なのでくれぐれもご注意を※

 

 

 

 

 スピッツで初めてのデジタルチケット。席は当日会場に来るまで不明。

スピッツのライブでは銀テープの類が飛んだりしないので、アリーナ中盤から後ろよりもスタンドがいいなという願いが通じたのか、席はスタンド席。

そのうえ1列目だったのでステージも見渡せ、ライブもストレスなく自分の世界で楽しめた。

 フジファブリックの時も思ったけれど、大阪城ホールはスタンド席でもそれほど距離を感じない。

 

ステージには都会の街並みを思わせるようなセットが組まれている。

開演時刻、ステージ中央のライトがバーコードのように点灯した。

聴き慣れない音楽がかかる。そしてはっと気づいたらスピッツのメンバーはもうステージの上に登場していた。

ここ数年おなじみになっていたSUGINAMI MELODYをアレンジした登場曲ではなく、ステージ下手からスタスタと歩いて出てくるスタイルでもないことにすこし驚いた。

この日の衣装は皆モノトーン。マサムネさんは左が黒、右が白にセパレートされたシャツに黒いハット。リーダーは白黒のストライプのシャツ、三輪さんはグレー系の色がミックスされたタンクトップ、崎ちゃんの衣装は残念ながら見えなかった。

 

ライブ本編

ライブは「見っけ」でスタート。

アルバムの表題曲であり、オープニングでもある曲。これは予想していた通りだった。

シンセの音に重なるギターの音、四つ打ちのドラム、弾むベース、全てがサビのようなメロディーに伸びやかなマサムネさんの声。

いつでもスピッツの曲は私を場外へ連れて行ってくれる、そう思うくらいどこをとってもスピッツらしさに溢れていると感じた。

 

序盤からアップテンポのナンバーが続く。

新アルバムの中でもスピッツ王道のロックナンバーである「はぐれ狼」に続いて、低くうなるベースソロが響く。リーダー田村さんの見せ場のひとつでもある「けもの道」のイントロが流れ、会場はさらにヒートアップした。私の心も踊る。

田村さんのスピッツ随一の運動量や手数の多いベースも健在。

そしてこれほど頻繁にライブで演奏される曲になるとはアルバム(三日月ロック)がリリースされた当時は思ってもみなかったエスカルゴ」。ドラムのリズムに合いの手を入れるのがお約束になっているけれど、スピッツファンの合いの手はスピッツファンらしく控えめ。いつの日か人目を気にせずにドルオタの如くドラムの合いの手を全力で入れてみたい。

ノリノリの曲たちが続いた後、すっと空気が変わった気がしたのが「小さな生き物」。久々にライブで聴くことができたのが嬉しかった。 

小さな生き物

小さな生き物

  • provided courtesy of iTunes

 

ここで最初のMCが入る。

客席の男性からの「あけましておめでとう」に応えたのかはわからないけれど、年初の挨拶があり、定番の「貴重な週末をスピッツのためにありがとうございます」という挨拶。

「はじめてスピッツを見る人はMCこんなんでいいの?と思うかもしれませんが、この調子でやります」という相変わらずの調子。

緩いMCもスピッツの持ち味のひとつだと思う。まあ、おおよそロックバンドのMCとは思えないけれど。

 

でもひとつ、大きな変化があった。

遠くて気付かなかったけれど、マサムネさんの前に市松模様のお立ち台が設置されたこと。

前にロック大陸漫遊記のアゲアゲナンバー特集の時、KEYTALKのステージに触れて(その時は「Monster Dance」をかけていた)「お立ち台、スピッツに導入しようかなと思ったけど、でも使うのベース(田村)くらいになっちゃう」みたいな発言をしていたけれど、まさか実現するとは。後方のお客様へのサービス、ということらしい。

ここでマサムネさん、お立ち台に乗って「右側(の人)〜!」みたいな声かけをやって、三輪さんにも「(お立ち台を使う)ノルマは果たした!」と言われていたけれど、ここ以外で使ったのは私の記憶が確かならば、だいぶ終盤の「俺のすべて」のアウトロのところくらいだった気が…w

市松模様なところがスピッツらしいというか、新宿LOFTのステージリスペクトかなとか思ったりして。

 

 

そんなMCのあと演奏されたのは美しいコーラスで始まる曲、「遥か」

クージー含むメンバー全員がイントロのコーラスを歌い始めた時、「あっ」と不覚にも変な声が出てしまった。

記憶が曖昧なので確証は持てないけれど、大分久しぶりにライブで聴いた気がする。私がめぐりあっていなかっただけかもだけれど。

「遥か」はアルバム「三日月ロック」に収録されているけれど、亀田さんプロデュースとなった初めてのアルバムの中で唯一亀田さんプロデュースではない曲。ちょうどアルバム「フェイクファー」~「三日月ロック」の過渡期にあったシングル曲だ。たしか中山美穂のドラマの主題歌だったと記憶している。

私はとても好きな曲なのだけれどイマイチ存在感がない曲という印象でもある。時期的にあまりメンバーに良い思い出がないのかなあなどと思ったこともあるので、今回演奏してくれたのは嬉しかった。

はじまりのコーラスだけでも聴く価値あると思うくらい美しい曲。

今心から言えるよ ニオイそうなI love you 

この表現、いつ見てもちょっとすごい。 

遥か

遥か

  • provided courtesy of iTunes

 

「快速」はライブで聴くとよりベースの音がよく聴こえて映える。間奏は特にベースの見せ場で、田村さんののベースに三輪さんのギターが重なってくるところ、照明の演出含めて、とてもかっこよかった。

後半テンポが速くなってくる部分も、歌うようなベースの旋律にのって、疾走するギターとボーカルが心地良い。緑色の照明が流れていく演出も良かった。

そしてこちらも久々の「放浪カモメはどこまでも」。「上昇し続けることはできなくてもまたやりなおせるさ」というフレーズはスピッツらしい最高の応援歌だと思う。盛り上がるしもっとフェスとかでもやればいいのにといつも思っている。

この後は「ミーコとギター」から「ラジオデイズ」へと。新旧織り交ぜたセットリストが楽しい。 

快速

快速

  • provided courtesy of iTunes

 

2度目のMCでは朝ドラの主題歌ってすごいというお話。「なつぞら」の主題歌を担当したことで多くの友人や親戚から連絡がきたという話があった。

そして子どもたちにはルルルのおじさんと呼ばれていると(さだまさしの「北の国から」みたいなことかな…)話し、「優しいあの子」が演奏された。

なつぞら」が放映されていた半年間毎日聴いていたからか、自然にすーっと入ってくる感じがする。シンプルなメロディーなのに飽きのこない演奏の妙。やっぱりいい曲だ。

続けてとても感動的な演奏だと感じた「ヒビスクス」「僕のギター」。さらに「まがった僕のしっぽ」とドラマチックな曲が続く。

特に「まがった僕のしっぽ」はこのライブのハイライトといっていい珠玉の演奏だった。

ゆるやかな入りから、とつぜんハードロックな曲に代わる曲の展開、スピッツの演奏力の高さがこれでもか!と炸裂していた。こういう演奏ができるのだから恐れ入ってしまう。

フルートはクージーが担当。

途中でガラッと曲調が変わるところ音源ではハンドクラップの音が入ってるから、ライブでもやるぞー!と意気込んでいたのだけれどら誰もやってなかったのが残念。

でも本当にすばらしかった。また聴きたい。 

まがった僕のしっぽ

まがった僕のしっぽ

  • provided courtesy of iTunes

 

 

3回目のMCでは「優しいあの子」を“大阪の吹田市へ好きな子を送っていく”という歌詞にしてマサムネさんが弾き語り。

気付いたらその曲がいつのまにか大塚愛の「さくらんぼ」になっていく…というアレンジ。

とても盛り上がったけれど、でもマサムネさん的には「さくらんぼ」よりは他の会場でやった米津玄師の「Lemon」になるパターンが一番しっくりきているらしい。

米津好きなので個人的にはLemonバージョン聞きたかったなあ。サビのさわりだけは歌ってくれたけれど。あとうっすらウルフルズの「大阪ストラット」も歌ってた。

(米津さんに)了解もらって配信しようかな?などと話していたけれど、

次の夏フェスのカバーは米津玄師とか、あるかな〜。うっすら期待しておこう。

 

MC明けの曲はこれも久々!青い車

スペシャアプリのコラムでキュウソのヨコタさんも書いていたけれど、この曲のCメロからは夏の匂いを感じる。

潮の匂いの染み込んだ 真夏の風を吸い込めば

心の落書きも踊り出すかもね

というか、「青い車」はイントロからすでに夏の空の青や海の青の色や夏の香りを感じる。それらがCメロの音数が減る部分で五感が一気にくすぐられて増幅するように感じる。

青い車」はサビで高音がずっと続く。それにも関わらず50歳を過ぎても軽々と伸びやかに歌う姿に感激してしまった。

季節は冬だけれど、この時大阪城ホールには夏の風が吹いてるように感じた。

余談だけれど、いつから「青い車」はワイパーするようになったのだろう。スパイダー、君は太陽、メモリーズといくつかワイパーが定番の曲があるけれど、青い車も?とちょっと思ってしまった。まあ、嫌ならやらなければいいだけなんだけど。ワイパー嫌いなわけではないけど、青い車でやるのは違うかなあと思ってしまった。 

青い車

青い車

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「YM71D」はリズムが楽しい。こういう横ノリの曲新鮮だし、ライブの定番になってほしいな。

そして「ロビンソン」「ありがとさん」「楓」と聴かせるナンバーが続けて演奏された。

「ありがとさん」は聞けば聴くほど素敵な愛の歌。

そしてより明確に「死」という視点が表れている歌でもある。「死」は昔からスピッツのテーマのひとつだったと思うけれど、少しその表現の仕方が変わってきてるのは年齢もあるのかな。

いつか常識的な形を失ったら

そん時は化けてでも届けよう ありがとさん

アウトロの重い音が余韻を引き立てていて、ゆっくりしたリズムだけれどスピッツの確かなロック魂を感じる曲だ。 

ありがとさん

ありがとさん

  • provided courtesy of iTunes

 

最後のパートは「渚」から。

いつも思うけれど、この曲は特に崎ちゃんのドラムが凄い。どこから手が出てるんだろう?と思う。

そしてスピッツの鉄板盛り上げソング「8823」「俺のすべて」

「俺のすべて」ではバックステージのスタッフさんもステージ脇にて頭の上でハンズクラップ。30/50のツアー時もそうだったーいいよね。

田村さんはステージを右に左に移動して大騒ぎ。マサムネさんは件のお立ち台のうえで涼しい顔でタンバリンを叩く。何度も聴いている曲だけどやはり楽しい。

 本編の最後は「春の歌」

さっき「青い車」は夏の風が吹く匂いのある歌と書いたけれど、「春の歌」は差し込む日の光や温度を感じる曲だ。パーっと開かれていくような感覚のある曲。

春の美しさと共に、別れの切なさや不安も感じさせる。 

春の歌

春の歌

  • provided courtesy of iTunes

 

 アンコール

アンコール1曲目は「醒めない」だった。今のスピッツのロックアンセム

私もスピッツにかけられた魔法から20年以上、醒めないでいる。

 

アンコールでおなじみのメンバー紹介では自然と大阪城ホールの思い出話となった。覚えている限りで簡単に。

 

田村さん

大阪城ホールはいいホール、特に赤いシートがいい

・草野以外のメンバーでAC/DCを見た

 マ)え?俺もいたよ??

 

クージー

・ロックロックこんにちは!でのオレンジレンジの観客のタオル回し。

・タオルの埃が通風孔に向かってフワーッと大量に舞い上がる光景がすごかった。

 マ)zeppケツメイシのタオル回しの埃が凄かった。

   鼻炎持ちには辛いからスピッツでは回しません!

 

崎ちゃん

大阪城ホールの隣の野球場でスピッツとイベンターで草野球をした

マ)今思えばスピッツへの接待だった気も…

  スタッフが外野で守備をしつつ仕事の電話をしていた

・お正月に見た野球選手の運動会が大阪城ホールで行われていて興奮した。

 

三輪さん

・ロックロックこんにちは!でキュウソネコカミに出てもらった時、キュウソの出演順がミスチルの後なことにセイヤが怒っていた。

 マ)あの順番よかったよね?ね?

NHKの朝イチにキュウソがいつもより良い服を着て出ていた

 

草野さん

・こんなに大きな会場でやらせてもらって嬉しい。会場は小さくなってくかもしれないけど、聴きに来てくれると嬉しい。

 

アンコール2曲目は「群青」、この曲も地味に久しぶり。

かつてくるりの岸田さんが、岸田日記(もう閉鎖されている)で「悔しいけど、いい曲」と書いていたことを覚えている。

そして本当に最後の曲はこれも予想通りだった。新アルバムのラストでもある「ヤマブキ」。近年のスピッツの曲は明るい曲調のものが多くて、ヤマブキもそう。

陳腐とけなされても よじ登っていけ

崖の上まで

 

メンバーは本当にニコニコ楽しそうに演奏している。

私もずっとニコニコだった。演奏も歌も素晴らしく観客もあたたかい、楽しいライブだった。 

ヤマブキ

ヤマブキ

  • provided courtesy of iTunes

 最近の雑誌でマサムネさんは音楽がやりたかったというよりバンドをやりたかった、とお話されていたのがすごく印象的だったのだけれど、本当に楽しいんだろうなあとスピッツを見ていて思う。そしてスピッツの年齢までそれが続いているってすごいことだなあとも。

 

誰だったか音楽ライターが「バンドってロマンがあるんだよ」って言ってたけど、今それがすごくわかる。いろんな音楽を聴くけれども、なんだかんだバンドの曲が好きになるのって、単純な曲とか声の良し悪しとかそういうことだけじゃないんだろうな。

そして、隣の席にいた20代位の男の子二人組が本当に楽しそうにスピッツを聴いていてほほ笑ましかった。物販に並んでいるときも若い女の子とスピッツ話に花が咲いてとっても楽しかった。

結構お年を召した方もたくさんいて、いろいろな人が聴いているという事実が単純に嬉しいと感じる。

そしてノリで買う気なかったのにガチャガチャコンプリートしてしまった…。色々な人に交換してもらってそれもまた楽しかった。

 

スピッツに次会えるのは札幌の5月のライブ。

セットリスト変わるのだろうか。楽しみです。

 

セットリスト 

01.見っけ
02.はぐれ狼
03.けもの道
04.エスカルゴ
05.小さな生き物
06.遥か
07.快速
08.放浪カモメはどこまでも
09.ミーコとギター
10.ラジオデイス
11.優しいあの子
12.ヒビスクス
13.僕のギター
14.まがった僕のしっぽ
15.青い車
16.YM71D
17.ロビンソン
18.ありがとさん
19.楓
20.渚
21.8823
22.俺のすべて
23.春の歌
EC1.醒めない
EC2.群青
EC3.ヤマブキ