徒然とエモーション

ブログって誰に向けて書くものなんでしょうね?と思いながら音楽とか本とかについて、自分でもよくわかっていない誰かに向けて書くブログです。

米津玄師の「海の幽霊」のこと。

米津玄師の新曲、「海の幽霊」いよいよ配信開始になりますね。

 

私はMVが公開された日に聴いた。

MVがアニメで作られていたせいもあるかもしれないけど、曲そのものから暗くて深い「海」の気配を感じるような曲。前作の「Framingo」と違って米津玄師の声が静かに湧き立つような歌い方で、声すら楽器のようだと思った。

 


米津玄師 MV「海の幽霊」

 

最近の音楽わかんないなーって思っていた私の耳に、ある日ピュっと飛び込んできたのが、米津玄師がDAOKOちゃんと一緒に歌っている「打上花火」という曲だった。

「あ、この曲はすごくいいな」と直感的に思ってすぐに配信で曲を購入し、その流れで米津玄師の他のアルバムもまとめて聴いて、すっかり米津玄師が好きになった。

 

「アイネクライネ」等の有名な曲は知っていたし、スピッツのイベントである新木場サンセットに米津玄師が出演した際、草野マサムネが「Bremen」というアルバムのことをすごく褒めていたエピソードは知っていたのに。

相変わらず気づくのが遅いんだよなあ。しかもその時歌ったというスピッツの「スパイダー」のカバー、聴きたかった…。

 

2月にはライブにも行った。

「脊椎がオパールになる頃」ツアーの北海きたえーるでの公演。その日の私の席は神がかっていた。会場にはセンターに△の形のステージがあったのだけれど、そのステージの先端のあたり。

セットリストの2曲目「LOSER」の最後、高く上がったステージ上から下を見て米津玄師がせせら笑いする場面や、中盤の「amen」でのステージ先端に立ってダンサーを従えて歌う姿は目の前で見た(やっぱり顔は前髪で見えなかったけど)。

目の前での「amen」の歌唱は圧巻で、青いライトに照らされた姿には神々しささえ感じた。近くにいた人が「テレビ見てるみたい…」とつぶやいていたけれど、現実のものとは思えないような感情が沸き立つ瞬間だった。体が動かない。

私のボキャブラリーに普段ない言葉だけど、「これはやばい」という言葉が頭をかけめぐった。「やばい」しか出てこないくらいやばい恍惚的な体験だった。

 

amen

amen

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

今回の「海の幽霊」を聴いたときの感覚は、その時ライブで感じた感覚に近いものがある。歌の力がすさまじい。

 

 

米津玄師は本当に“アーティスト”という言葉がピッタリくる人だ。彼の書く絵もすごく魅力的だし、歌詞もすごくいいと思う。きれいなものだけでなくて、汚いものとか嫌な感情とかも描き出している。でもなんだかすごく励まされる。

私はアルバム「YANKEE」に収録されている「WOODEN DOLL」と「ピースサイン」のカップリング曲「ゆめくいしょうじょ」が大好で、いろんな場面で心の支えになってくれた大切な曲だ。元気な時に聞きたいアーティストはたくさんいるけれど、米津玄師は心が疲れているときに聴ける数少ないアーティストのひとりだ。

今月号のロッキング・オン・ジャパンのインタビューで「自分の主戦場はライブではない」というようなことを話していて、すごく納得できてしまった。

米津玄師のライブはとても素晴らしいし楽しいけれども、米津玄師の曲は家でひっそりとひとりで聴きたいなと思う瞬間や感覚が私にもあるから。そして、こういうことを言える人だから信頼できるような気がするのかも。

 

語りだしたらきりがないのだけれど、私が一番魅力的だと思うのはやはり米津玄師の声で、特に張り上げた時の声がセクシーだなと思う。普段低音なんだけど、高音域に移る時にハッとする感じがしてドキドキする。さっき、楽器のようだと書いたけれど、バイオリンの音のようだと思うことがある。

たまーに開催されて運が良ければめぐりあえるインスタライブではよくスピッツの「桃」という曲を歌っているけど、スピッツはキーが高いのでスピッツ歌ってくれると高音が聴けるのでとても良い。

 

今回の「海の幽霊」では特にその声の魅力が堪能できますね、うれしいな。

本音を言えば配信じゃなくてパッケージにしてほしかったけど。