徒然とエモーション

ブログって誰に向けて書くものなんでしょうね?と思いながら音楽とか本とかについて、自分でもよくわかっていない誰かに向けて書くブログです。

サカナクションのライブを初めて見てわかったこと。

2019年5月3日、札幌の北海きたえーるで行われたサカナクションのライブに行ってきた。

「SAKANAQUARIUM 2019 “834.194” 6.1ch Sound Around Arena Session」という音響や演出に拘ったライブ。6.1chのサカナクションのライブが北海道で行われるのは初めてのことだったらしい。

 

北海道出身で今も住んでいる私にとって、北海道出身バンドであるサカナクションが音楽シーンで活躍してくれているのはすごく嬉しいことだ。

北海道出身のミュージシャンはとても多い。中島みゆき松山千春GLAY大黒摩季bloodthirsty butcherseastern youth怒髪天、等々音楽シーンに影響を与えたような歌手やバンドも多い。サカナクションもこの中に名前を連ねる、“今”を代表する北海道出身バンドだ。サカナクション知名度もあるし、フェスに行くような音楽好きも聴いているから、「サカナクションが好き」と言っておけば割とどんな局面でもOKみたいな感じがする。それってすごいことだと思う。

 

私はラジオかなにかで聴いた「アルクアラウンド」という曲でサカナクションを知って、アルバム「kikuuiki」や「documentaly」はリリースされてすぐ買った。

そんなサカナクションのライブ。

…実は初めて行きました。

 

地元のフェスであるライジングやジョインアライブにも頻繁に出演しているのに、見たことなかったの。

 ここまで前置きをダラダラ書いたけど、つまり私は比較的サカナクションには好感を持っていた。シングルがリリースされれば耳を傾け、CDだって買うくらいに。

 

でも、

本音を言うと、CDとか音源でサカナクションを聴いても正直あんまり楽しくないなって思ってた。「アルクアラウンド」や「アイデンティティ」「夜の踊り子」「新宝島」あたりの有名な曲は楽しく聴けるんだけど、他のアルバム曲にいまいちはまれない。

シャッフル再生とかでサカナクションのアルバム曲とか出てきたらワンコーラスくらいでなぜか飛ばしてしまいたくなる。

一応付け加えておくと、別に私はシングル=良い曲とは思っていない。知らない曲でも楽しく聴いて、好きになる曲はたくさんある。でもサカナクションの曲はなんかだめだった。

アルバム通して聴かないとだめなタイプの音楽なのかな?聴き方が悪いのかも…とか思ってみたりしているうちに、世の中のサカナクションの評価はどんどん高まり、フェスではヘッドライナーが当たり前みたいなバンドになっていった。そして、なんだかサカナクションが好きになりきれないっていうことを認めることが怖くて当たり障りなく過ごしてきた、そんな感じだった。

 

そんな私が初めてサカナクションのライブに行った。

その感想。

ひとことでいうと、、、めちゃくちゃ楽しかったー!

 

わかってはいたけど、躍らせるタイプの曲ばっかり。というか、音楽がかかると自然に体が動く。

オープニングの「セプテンバー」でゆったり始まった後の、「アルクアラウンド」「夜の踊り子」の2連発ではテンションが一気に上がる。楽しい。

 

アルバムの「834.194」は発売が6月に延期になってしまったので、ライブの時点では知らない曲もあったけど、全然問題なかった。ピーナッツの歌(収録曲が発表されたので、おそらく「マッチとピーナッツ」という曲だと思う)が妙に印象的だった。なんであれピーナッツなんだろう、気になる。

 

 

さらには映像で流れる(おそらく)東京から札幌までの道のりの映像は北海道に住む私にとって、見慣れた景色も多くてそこもグッときた。

紗幕を使った演出や光の演出も凄い。次は何を見せてくれるんだろう?とワクワクするし、ひとつのステージ作品を見ているような感覚。そこにライブの高揚感が加わって、気持ちが高まる。

こだわっているだけあって、やはり6.1cnの音響が素晴らしい。特に「Aoi」のイントロの合唱部分は歌が空から降り注いでくるような感覚、これもすごい体験だった。

 

でもね、私が一番感動したのはボーカルの山口一郎さんの歌とパフォーマンスだった。

山口さんは、CDでの歌い方とかたまに聞くラジオ(年甲斐もなく私はたまに「SCHOOL OF LOCK」を聴いたりする。好きなの)等では割と淡々としてる人なのかなと思っていた。ものごとを割と引いて客観的に見てる人という感じで、こんなに熱いパフォーマンスは想像していなかった。

生のライブで見る山口さんからはお客さんを全力で楽しませようとするパワーみたいなものが放射されていた。昨年、幸運にも私はさいたまスーパーアリーナで行われたエレカシミスチルスピッツの3マンのライブに参加したのだけれど、その時はじめて見たミスチルの桜井さんから感じた熱量にちょっと似ている(やっていることや曲は全然違うと思うけど)

その感覚を言葉で表現するのは難しい。なんというか、身体的なものをサカナクションの音楽から初めて感じた気がした。

 

終盤の「アイデンティティ」「新宝島」「多分、風」そしてアンコールの「バッハの旋律を夜に聴いたせいです」等のキラーチューンをかまして、盛り上げたのちの一番最後の、「セプテンバー」が実は一番心に残ったナンバーだった。

 

このライブ体験を経て、サカナクションの聴き方がまるっと変わった。

サカナクションの曲はたぶん能動的に体で聴いて感じる音楽なんだろうということに初めて気づいたから。

 

 このライブを経て、6月にリリースされる「834.194」を音源で聴いたとき、どんな感想を持つだろうか?

 

またCDだとだめだと思うのだろうか?それとも…?

自分でもどう感じるか楽しみにしている。