徒然とエモーション

ブログって誰に向けて書くものなんでしょうね?と思いながら音楽とか本とかについて、自分でもよくわかっていない誰かに向けて書くブログです。

スピッツ オンライン上映 ”猫ちぐらの夕べ”を観た感想

お久しぶりです。

ライブにも行けずどこにも行けず、たまに配信ライブなんかは観たりはしたけれど、現場に行けないと心は離れていくなあなどと思っていた今日このごろ。

 …ですが、昨日(12/21)に初回配信されたスピッツのライブ”猫ちぐらの夕べ”については感想書きたいなあと猛烈に思ったので、久々に書きます。

 

これまでも他のアーティストの配信ライブも見たりなんかしてたのだけど、抽選の当落とかじゃなくて地理的だったり状況的な問題で行けないのが現状なので、特に有観客の生配信は、関東に住んでいて会場に行けている人へのうらやましさが先に立ってしまって心底楽しめないなあというのが正直な気持ちだった。

これはアーティスト側の責任ではないし、配信してくれるだけありがたいのだけれど…。心の狭い人間でほんとすみません。

そんなわけで最近有観客の配信ライブを観るのはちょっと敬遠していて、このまま音楽から心は離れてゆくのか…などと思っていたりしていた。

 

が!スピッツの”猫ちぐらの夕べ”は観ないという選択はなく、観始めたらそんな気分も吹き飛ぶとても良いライブだった。心がスーッと癒されました。

観てよかった。なんならこれから何回観ようかしら…?と思っているくらいには。

 

 

 

 

※ここからはガッツリネタバレなので、まだ上映を見ていない方はお気をつけください。

 

で、”猫ちぐらの夕べ”のセットリストなのですが。

控えめに言っても近年最高の神セットリストだったと思う。

事前の告知でも「ゆったりとした曲を」みたいなことがアナウンスされていたので、どんな曲が演奏されるのかとても楽しみにしていたのです。

 

 

まずもう1曲目から「恋のはじまり」だったのは本当にびっくり。ライブでまた聴けるとは。

私はマサムネさんの「恋」とか「愛」の日本語の表現が天才的だと常々思っていて、「恋のうた」「恋は夕暮れ」「恋のはじまり」「恋する凡人」みたいに「恋」がテーマのスピッツ曲が大好物。

新種の虫たちが鳴いてる マネできないリズム 

恋のはじまり

恋のはじまり

  • provided courtesy of iTunes

 新種の虫たちの声になぞらえるなんて、”恋のはじまり”を表現するのにこんな言葉使うんだ!すごい…(語彙がない)ってなってしまう。

スピッツの歌詞って全然難しい言葉じゃないのに、絶妙な組み合わせっていうか、いや本当にマサムネさんの頭のなかどうなってるんだろう?

 

2曲目の「ルキンフォー」

思い出で 散らかった部屋を

出てゆくよ 言ってたより少し早く

ルキンフォー めずらしい生き方でもいいよ

誰にもまねできないような

 このフレーズが心から大好き。不器用さだったりいびつだったりすることを肯定してくれるところ。静かに力強く響演奏と歌に励まされる曲。 

ルキンフォー

ルキンフォー

  • provided courtesy of iTunes

 

空も飛べるはずを挟んで演奏されたあじさい通り」もかなり久々にライブで聴いた曲。

スピッツには直接的なメッセージを伝える曲ってそんなにないんだけど、下向いちゃうときとかダメな時もあるけど、それもいいよねって言ってくれる曲が多い。

だから この雨上れ

あじさい通り」で印象的なサビのフレーズを聞いて、この祈りが届いて早くライブに行ける日が来てほしいと率直に感じた。

 

MCを挟んで個人的に冬のスピッツの代表曲だと思っている「スカーレット」、MIKKEツアーでも披露された「小さな生き物」99epに収録された隠れた名曲「魚」(個人的に99ep名曲揃いだと思う)。

 

久しぶり(20年ぶりくらい)にやる曲です、と言って披露されたのは「ハートが帰らない」。隼のツアー以来なのかな。これも意外な選曲でうれしい。

音源では女性コーラスが入るメロウな曲。

おととしくらいのライブ(FM ROCK KIDSのやつ)での「さらばユニヴァース」の演奏もめちゃくちゃ良かったし、アルバムとして「隼」大好きな私はとても嬉しい。

MCで深呼吸をするときは、吸うより吐くほうが大切だと聞いたので「ハートが帰らない」のサビを歌うといいかも、というゆるーい話に笑ってしまった。

深呼吸するときこの曲必ず思い出しそう。

そのMCで「ハートが帰らない」深呼吸を披露するために改めてサビを歌ったマサムネさんに、田村さんが「いい声だなあ」って言ったのも印象的だったなあ。ずっと一緒に演奏しているメンバーでもそう思うのね、と。マサムネさんああみえて声量あるし音程も安定してるし、歌本当にうまいよね。

 

そしてそしてみんな大好きなスピッツファンにとってある意味代表曲といえる「猫になりたい」の次に披露された「君だけを」が超絶素晴らしかった!!!!!!!

「君だけを」のためだけにでも何度でもこの配信を見る価値があると断言できる。いやもうマジで。「君だけを」を今回選曲した人に大感謝。 

君だけを

君だけを

  • provided courtesy of iTunes

 冒頭、マサムネさんのアコギのみで歌われるんだけれども、そこでもう素晴らしすぎて息が止まりそうになった。

マサムネさんの声、やはり少しずつ変化していると思うのだけれど、もともとお上手な歌がさらにうまくなっているなあと思うの。そして昔より少しかすれたような今の声に「君だけを」がベリーマッチしていて破壊力抜群。

あまり感情を入れずにさらーっと歌うのは元々そうなんだけれど、その中での静かな感情の込めかたみたいなのが本当にうまくなったと思う(偉そうでスミマセン)。

聴き手に想像の余地を残す感情の込めかたというか。

語彙が無いのでうまく表現できないのだけれど、過剰に抑揚で表現するのとまた違う歌の表現というのがあるんだなあと、近年のスピッツのライブを観ていて思うのよね。それがじっくり堪能できる「君だけを」最高。

それにしても本当に思うんだけれど、(Youtubeで公開された横浜サンセットの感想の時にも書いた気がするけど)『Crispy!』収録曲(シングル曲除く)は過小評価されすぎだと思うので、もっともっとライブでやるべきだと思う!!!

 

そして個人的にはもう1曲、このライブを象徴するように感じた曲があって、それは本編最後の「正夢」。本編を締めるのにふさわしい選曲と演奏だった。

 

「正夢」に関しては思い入れがある。

東日本大震災が起きた年である2011年の新木場サンセットで、確かこの時も本編の最後で演奏された「正夢」は今も忘れられない。

世の中的にも自分の気持ち的にも閉塞感が凄かったんだけど、この時の「正夢」では本当に心に明かりが灯ったような気持ちになった。

もう歌詞が素晴らしい。

愛は必ず最後に勝つだろう そうゆうことにして 生きてゆける

あのキラキラの方へ登っていく 

正夢

正夢

  • provided courtesy of iTunes

 クレジットに special thanks KANとあることからも、KANの「愛は勝つ」のリスペクトなんだと思うけれど、「愛は勝つ」って一見陳腐に聞こえるけどすごい真理というか。それを「そうゆうことにして 生きてゆける」と表現するところもすごい。

そう思っておけばよくない?っていう感じに救われるというか、いや本当にいい歌詞だと思う。

ちなみに本当に余談だけれど私はKANさん大好きなんです。北海道人なのでKANさんのラジオで育ったと言っても過言ではないくらい。ロックボンソワも聴いてる。

 

横道にそれたけれど、今回のライブの「正夢」もそれに近い印象を受けた。

明い!希望!というよりは、今は暗いところにいるけどキラキラの世界が見えているよ、もうすぐだよって言われているような感じというか。

そんな経緯もあって、個人的には「正夢」がスピッツの曲の中で一番希望を感じる歌で、私にとって特別な曲のひとつ。30/50のツアーでもピンクの紙吹雪が舞う演出がされていて、なんかハッピー感あるのかな。

 

そういえばこの時の新木場サンセットでのスピッツ恒例のカバーはブルーハーツ「ハンマー」だった。これがまたすごい歌詞で、印象深いカバーだった。 

私が行ったのは2日目で、スピッツ以外の出演者は(確か)コレクターズ、高橋優、たむらぱん、世界の終わり(まだ日本語表記だった頃だったなぁ。あのSEKAI NO OWARIのことです。ナカジンさんがスピッツのステージ観てたの覚えてる)。今思えば新木場サンセットにセカオワ出てたのか…私観てたのか…って感慨深いものがある。。。

ハンマー

ハンマー

  • provided courtesy of iTunes

 

全曲感想書くのしんどくなって飛ばしちゃったんだけれども、「みなと」の演奏で三輪さんのギターの手元が大きく映った時のギタープレイだとか、「フェイクファー」の時の田村さんのちょっといつものエンジンかかってきた感じだとか、崎ちゃんのドラムの心地よさもみんな私の好きなスピッツだった。

 

アンコールが「初恋クレイジー」「ウサギのバイク」「ハネモノ」だったのも良かったなあ。「ウサギのバイク」は割とライブで登場してる気がするけど、私はなかなか巡り合えてなかったからうれしかった。

 

猫ちぐらの夕べ”の何がよかったって、単にセットリストがとか、この曲が、とかいうだけではなくて、ひとつひとつの曲を通してスピッツからのメッセージが伝わってきたところ。押しつけがましくなくって、ライブを通してそっと励ましてくれるところがスピッツらしくて素敵だと思った。

メンバー紹介の時クージーも言っていたけれど、また会えるよ約束しなくても by「魔法のコトバ」を胸にMIKKEツアーの再開をずっと待ってます。

 

 

メンバー紹介の崎ちゃんの「心を燃やせ」とか、イマイチ噛み合ってなかったけれど、三輪さんの帽子からスズメ(善逸?)、マサムネさんの帽子からカラス(炭次郎?ロック大陸漫遊記ではマサムネさんは村田さんが好きって言ってたね)が出てきて…と鬼滅の刃ネタがあったり、瑛人の「香水」歌おうとして止められたっていう話とか相変わらず緩いMCも楽しかった。ちなみに私は中の人の声が大好きなので伊之助が好き(どうでもいいですね)。

次の日仕事とかない日にじっくりまた見て浸りたい。「君だけを」何回も聴きたいからBD化期待してます。。。

 

 

猫ちぐらの夕べ” セットリスト

01.恋のはじまり
02.ルキンフォー
03.空も飛べるはず
04.あじさい通り
05.スカーレット
06.小さな生き物
07.魚
08.ハートが帰らない
09.猫になりたい
10.君だけを
11.僕のギター
12.猫ちぐら
13.フェイクファー
14.楓
15.みなと
16.魔法のコトバ
17.正夢

EC1.初恋クレイジー
EC2.ウサギのバイク
EC3.ハネモノ