スピッツのニューアルバム“見っけ”を聴いた~感想その⑤~まがった僕のしっぽ、初夏の日、ヤマブキ、ブランケット
10.まがった僕のしっぽ
今回のアルバムの中である意味一番インパクトのある曲。イントロのフルートの音色からして異色な感じ。
スピッツには割と珍しく、途中からがらっと曲調が変わる構成も面白い。
なんとなく前半は久保田早紀さんの「異邦人」のような歌謡曲っぽい感じなんだけれど、「波は荒くても この先を知りたいのさ」から急にBPMが早くなって、ぐっとロック調になる。そして要所で入るクラップ音も楽しい。
ちょっとロードムービー的な歌詞にも読めたりして、そこがまたこの曲のドラマチックな展開にあっているなと思う。
「まがった僕のしっぽ」とは、単に“ひねくれ者”とか“はぐれ者”みたいなことの比喩なのか、それとも…?いろいろな解釈ができるのも楽しい曲。
11.初夏の日
京都の公演の時だけ演奏されていた曲で、名前だけは知っていたけれど聴いたことはなかったので、今回収録されてめっちゃ嬉しかった。
多分もうかなり昔からある曲のはず。
そのせいもあるのか、少し「遥か」とか「スカーレット」とかがリリースされていた頃の空気感が香る曲になっているなあと思う。
この歌詞も「田舎の生活」とかみたいな感じで、優しい曲調で「美しい初夏の京都で楽しくデート」の情景を描いている…と思いきやそんな夢を見ているだけだという妄想全開のド変態歌詞。
嫌われちゃいそうなやり方で 近くにある幸せじゃなく
ついについに手に入れる レアなときめきを
このあたりの歌詞はほんと真骨頂って感じね…。
でもこのCメロが本当に歌詞もメロディーも秀逸だなあって思う。聴いていて気持ちがいい。
スペシャアプリで連載されているキュウソネコカミのヨコタさんのエッセイで、ヨコタさんもスピッツのCメロ大絶賛してたもんな~(ちなみにヨコタさんのCメロ1位は「虹を超えて」とのこと。渋い!)。 ヨコタさんのエッセイ、面白いので大好き。
今回ベルゲン会員盤特典のゴースカCDにはライブ盤の「あかさたな」が入っていてそれもすごく嬉しかったんだけど、「あかさたな」もすっごく良い曲なのでいつかアルバムに収録してほしいなあ。カップリング集の第4弾収録でももちろんいいので。
12.ヤマブキ
NHKのSONGSの感想で少しだけ書いたので、今回は割愛。
初回特典の「ブランケット」を抜きにすると、この曲が「見っけ」の真のラストナンバー。
明るいロック曲で締めるのがスピッツのアルバムでは割と定番だと思うと、納得の位置。というかこれシングルにしてもよかったんじゃないの!?っていうくらいキャッチーな良い曲だと思う。
ボーナストラック. ブランケット
平井堅さんに提供した曲のセルフカバー。
本音を言うならば、平井堅が歌う「ブランケット」はあまり良いと思っていなかった。
別に平井堅が嫌いなわけではない。でもこの曲の持つメロディーの感じが平井堅にはあっていないように思ったのだ(記憶では“あえて平井堅が歌わないような曲を提供した”というような主旨のことをマサムネさんは言っていたから確信犯なのかもだけど)。
でもこれは草野マサムネが作った曲というフィルターを通して曲を聴いてたからなのかもしれない、と今は少し反省している。
心のどこかでマサムネさんが歌った方が良いのでは?って勝手に比べていたのかもしれない。そういうの本当によくないなと思った、反省。
で、スピッツバージョンの「ブランケット」は、「見っけ」の中での個人的なお気に入り度は一番下かな、という感じ。
平井堅云々ではなく、単純に曲自体があまり自分の好みで無かったということなのかもしれない。
けれど、普段と響きが違う感じだからこそエモく聴こえるようなところもあって、少し新鮮でもあった。時間がたてばまた違う感想を持つのかも。
------------------------------------------------------
長かった「見っけ」感想はこれで最後。
ディスクレビューとかされている人、本当に尊敬しちゃう。
私のこれはあくまで感想といいつつ、自己満足で始めたはずなのに、だんだんしんどくなってしまった。ちょっと反省。音楽的な知識とかないからどうしてもふんわりした感想になってしまう。
それはそうと、「見っけ」リリースされて1ケ月以上経ったけれど、まだまだ新鮮な気持ちで楽しく聴けるし、20年以上にわたって訓練されてきたスピッツファンなので、次のアルバムが出る3年後くらいまで「見っけ」を楽しむ自信はあるのです。
今のところ、"MIKKE"ツアーはアリーナで1月の大阪城ホール、ホールで地元の札幌に行く予定なので、そちらも楽しみ。
いらないといいつつ、ミノムシさんぬいぐるみを買ってしまいそうで怖い。