くるりの奇跡という曲が奇跡的だったこと
私にとって2010年から2015年位までの間が最も音楽に触れていなかった期間になると思う。
だから、それ以前からずっと聴き続けている歌手なりバンドなりというのはとても少ない。というか、若いころから「ずっと聴き続けている」という定義にあてはめるならば、それはスピッツとくるりの2組しかないかもしれない。
…とこんな風に書いたけれど、私は熱烈なくるりのファンというわけではない。
だいぶ昔、大学生か社会人なりたてくらいの時にいくつかライブへ行ったけれど、そのあとはゆるーくずっと聴いているというくらい。
デビューして少し経ったくらいの頃のくるりは、一部の音楽雑誌からやたらめったら持ち上げられていて、くるりを良いと思わないのは音楽をわかってない人だ、みたいな風潮があって私もそれに毒されていたように思う。まあそれは別として、その音楽性は高く評価されていた。
それに加えて私が好きなスピッツの草野マサムネさんもこの頃「ばらの花」がすごくいいと褒めていて、そんなこんなでくるりを聴き始めたのだと記憶している。
私にとってのくるりは、アルバムがリリースされれば一通り聴いて、めちゃくちゃ好きな曲もあるけど、どうしても退屈だと思って聴かない曲もある。アルバム毎にあまりにもカラーが違うので毎回ちょっととまどってしまう、そんなバンドだ。
ところで、世間一般的なくるりの代表曲って何でしょう?
なんとなくだけど「東京」「ばらの花」「ワールズエンド・スーパーノヴァ」「ロックンロール」あたりを挙げる人が多いような気がする。
私が一番熱心に聴いていたのはアルバムでいうと「TEAM ROCK」から「アンテナ」くらいまで。
その頃はライブでも何度か見ていて、昔ライジングだったか、くるりのイベント「百鬼夜行」かで演奏していた「街」や「GO BACK TO CHINA」とかはめちゃくちゃかっこよくていまでも大好きな曲だし、「ワンダーフォーゲル」はイントロ聴くだけで気分が高揚する好きな曲のひとつだ。
けれど私の中では「NIKKI」(「Baby, I love you」は好きだったけど)が全然はまらなくて、メンバーもしょっちゅう変わるしなんだかなあという気持ちになっていて、その頃ぐらいからは“それなり”に聴くという感じ。
でもね、実は私が一番好きなくるりの曲は「NIKKI」以降にリリースされたもので、
それが、「奇跡」という曲。
この曲がリリースされた当時、プライベートで色々なことがあった時期で、あまり熱心に音楽を聴いていなかったけれど、何かで耳にしたこの「奇跡」はすごく気に入ってよく聴いていた。
岸田さんの優しい歌声や歌詞が素晴らしくて心にスッと入っていく感覚がする。それに加えて、この曲の聴きどころはとっても長いアウトロ。特にエレキギターの音色がとてもきれい。すべてが優しくて暖かい曲だ。
でも特にそれ以上気に留めることもなくおよそ10年を過ごし、最近はフジファブリックと米津玄師(それとスピッツ)ばっかり聴いていたんだけど、ある日ウォークマンをシャッフル再生していたら、登場したんですくるりの「奇跡」が。
やっぱりいい曲だなあって思って、家に帰ってクレジットを見てみたら、
まったく気づいてなかった…。あのとんでもなく優しいエレキギターの音色がフジファブリックの山内さんによるものだったなんて。
言われてみれば志村さんが亡くなった後、山内さんがくるりや斉藤和義さんのツアーに参加したことあるって何かで読んだけど、「奇跡」の時期だったんかい!ってなりました。
しかも私ときたらくるりの「武道館ライブ」のDVD持ってるんですよ。
「奇跡」が入っているから買ったの。買っただけで満足して見てなかったんだけど…。もしやと思ったら、案の定山内さんバリバリにギター弾いてるー!!!!!
ってなりました。もはや奇跡。
いやそれにしても映像で見ても「奇跡」の山内さんのスライドギターの音色素晴らしいです。もちろんその他の曲の演奏も良い。やっぱりギタリストなんだなあ。
ちなみに今このくるりの「武道館ライブ」のDVDを見返したら、ちゃんと歌と演奏で聴かせる演出になっていてとても素晴らしいライブだった。
岸田さんはじめメンバーやお客様もとても音楽を楽しんでる感じが伝わってくる。
そして、「言葉にならない、笑顔を見せてくれよ」の良さも再発見。
最近は特にほんと流し聴きという感じだったので、「ソングライン」や「THE PIER」とかもちゃんと聴こうと反省した次第です。